今だからわかる!FPとして独立した時の私に伝えたいこと

今だからわかる!FPとして独立した時の私に伝えたいこと

私は銀行、保険会社を経て9年前の2014年1月に独立をしました。

しかし独立時に致命的な間違いを犯してしまった為、のちに大変な苦労をすることになりました。

そのような経験から、もし、時間を遡って9年前の自分にアドバイス出来るとしたら、絶対に伝えたいと思うことをみなさんにシェアします。

これからFPとして独立を志す人は、是非このコラムを読んで私と同じ間違いをすることなくFPビジネスを軌道に乗せてくださいね。

独立時の致命的な間違い

私は銀行で窓口業務を経験後、日系生命保険会社のFP事業部に5年弱、勤めた後、

「金融商品を売らず、もっと顧客の利益にフォーカス出来るFPになりたい」

と考え、FPとして独立をしました。

その時、幸いにも「梶原さんが独立するならお世話になりたい」と言ってくれる顧客が数世帯おり、その中のある顧客に聞かれました。

「独立なさるなら、これからは報酬をお支払いしなくてはいけませんね?費用はおいくらなの?」

企業型FPであった私の今までの報酬は、生命保険と投資信託の販売実績に応じた、いわゆる「コミッション報酬」でした。

しかしこれからは、自分で自分の仕事に値段を付けないといけないのです。

早速、私は、自分の仕事に値段を付けるべくパソコンで独立系FPのホームページを複数検索し、先輩FPの価格設定を参考にしました。

そして、その結果「平均的な金額に見えた」年間FP顧問料金5万円で設定してしまったのです。

今思うと、ものすごく安かったなと失笑してしまうのですが、当時の私は、

「今まで無料で提供していたプランニングに値段を付けて提示すること」

が怖くて仕方なかったのです。(※勤務していたFP事業部はプランニング・相談業務を無料で行い、保険と投資信託の販売手数料を収益としていました。)

高いと言われたらどうしよう、大切な顧客が離れていったらどうしよう・・・。

そんなことばかり考えていました。

冷静に考えれば、コミッションで稼ぐつもりのないFPの年間報酬が5万円ではビジネスとして成り立つ訳がないことは明白です。

当然、独立のために貯めたお金は最初の1年であっという間になくなりました。

起死回生への苦労

独立して1年半経つ頃、いよいよこのままでは自分の生活が立ち行かなくなると悩んだ末に、起死回生策として年間報酬を値上げする事にしました。

とはいえ、値上げには理由が必要です。

必死に綺麗な理由を考えたりもしましたが、結局は正直に状況を伝えることにしました。伝えた内容は以下です。

  • 年間5万円は安すぎた
  • このままだと、仕事が続けられなくなり継続的なサポートができなくなる
  • 米国FPの報酬基準は保有金融資産残高に対して1%程度がスタンダード
  • 来年度から保有金融資産残高に対して報酬を設定したい

その当時には15世帯ほどの年間顧問契約をいただいており、この話をしたら

「誰も契約を継続してくれないのではないか?」

と考えて泣きそうになったものです。

全ての契約顧客とお会いして、この話を伝える作業は日々身を削られる思いでした。

私に勇気をくれた一言

しかし、実際に、顧客と会って話を伝えると、想像していた反応と異なったのです。

「確かに、今までが安すぎたわよね(笑)」

「よし!わかった、これからも頼むよ!」

去っていくどころか、応援してくれる顧客が大多数だったのです。

一方で、金融資産残高に応じた報酬となったので、顧客によっては年間5万円から、65万円にUPする方もいました。さすがに値上がり過ぎだろうと思い、少し値引いた金額を提示したところ、その顧客に言われました。

「梶原さん、自分のビジネスの報酬を簡単に値引いては駄目だよ。それはあなたに仕事を依頼する顧客に対しても失礼になる。もっと自分の仕事に自信と誇りを持ちなさい」

私はその一言に強い衝撃を受けました。

きっと、高いと思っていたのは私だけだった。

むしろ、しっかりと報酬を受け取ることは、顧客に対しての責任を表明することなのだと。

そう思うと、報酬額の事ばかり気にしていた自分が急に恥ずかしくなりました。

その後も順調に顧客との再契約はすすみ、結果的に7割の顧客が新報酬に合意してくれました。

これから独立するみなさんへ伝えたいこと

1)どこで稼ぐかを考える

企業で仕事をしていると、サービスや商品の値段は決まっており、自分で値付けする必要がないことがほとんどです。

多くの方は、独立して初めて自分のサービスに値段を付けるのではないでしょうか?

私はそこで安易に他の独立系FPのサービス価格を参考にしてしまったのが間違いでした。

なぜなら、私が参考にしたFPのほとんどの方は相談料や顧問料で稼いでいない方ばかりだったからです。

相談料や年間顧問料はフロント商品(客引き商品)で、その後ろに収益源となる別のサービスを持っていたのだと思います。

ですから、みなさんもまず、自分のFPビジネスはどこで稼ぐかを考えてください。

そうすれば自ずと、どのくらいの価格にしなければ成立しないかが見えてきます。

2)自分のFPサービスを信じること

きっと、みなさんは独立するにあたり、自身のFPサービスに強い想いを持たれていることと思います。どうかその想いを信じてください。

自分のFPサービスを信じれば「高い」などと思わずに、自信を持って価格提示できるはずです。

せっかく、良いFPサービスを提供していても、継続しなければ意味がありません。

それどころか自分を信じて契約してくれた顧客を裏切る事になってしまうのです。売上は良いサービスを提供するためのガソリンです。

値下げはいつでも簡単に出来ますが、値上げのハードルは非常に高いのです。

正当な報酬をいただき、一緒に素晴らしいFPサービスを日本中に広めましょう!

【執筆者】
かじはらFP事務所 代表
株式会社NiHOME 代表取締役
梶原 真由美

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